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立花隆さんの『青春漂流』が出たのは、1985年。
11人の若者の青春漂流が、それぞれに紹介されている。
単行本として出版されたのは1985年だが、それより2年前に雑誌「スコラ」で毎月一人ずつの連載がはじまっていたのだった。

稲本 裕(32)=オーク・ヴィレッジ
古川四郎(33)=手づくりナイフ職人
村崎太郎(22)=猿まわし調教師
田崎真也(25)=ソムリエ
森安常義(33)=精肉職人
長沢義明(36)=フレーム・ビルダー
松原英俊(33)=鷹匠
斉須政雄(34)=コック
冨田 潤(34)=染織家
吉野金次(36)=レコーディング・ミキサー
宮崎 学(34)=写真家

青春を若干卒業したような年齢のものもいるが、これらの誰もが当時は「青春時代」まっただなかを生きているなんて思っていない連中だった。
それこそ、この時代にもただ夢中で自分のやりたいことだけをやって生き抜いていた男たちである。

そして、
20年たった今でもここに登場した11人は、誰一人として別の職業に就いたわけでもなく、現代でも同じ仕事を黙々とやり続けている。
そうした20年後の「青春漂流」を記録しようと、あるテレビ局が著者である立花隆さんを伴って11人を再訪する番組をつくった。
伊那谷のボクのところへも、もちろん立花さんはやってきた。
5年ぶりくらいの再会だったが、楽しい一夜を過ごすことができた。

立花さんは、「フクロウ谷」を見たいということで、スタッフたちと現場へ向かった。
そして、ボクは現場でフクロウの生態をひと通り説明したあと、どのような絵コンテのもとに撮影したかを見せてあげた。
たとえば、「フクロウをZ型に飛翔させて、その過程でどこをカメラに押さえていく、か」っといった説明をしたのである。

g『いいですか、フクロウは林からA地点に向かって水平飛行してきます。
  このときに、水平飛行を真正面から狙えば、はい、1カットいけます、ね。
  さらに、A地点に止まる瞬間のアクションが撮れますね。
  そのあと、枝に止まっている表情や、B地点に向かうフォルムだって、撮れます。
  AからBへ舞い降りる瞬間は、顔を下げて獲物に向かう表情にもなりますから、ここでも狙えます…ね。
  そのあとB地点へ止まるシーンや、止まってからの表情なども、さらにUPでも撮れます。
  BからCへは急降下ですから、ここでも獲物に向かう写真が撮れます。
  そして、カメラを土の中に埋めてしまえば、ネズミの視線から見たフクロウも撮れます。
  C地点では、獲物を押さえる瞬間から飛び立つ姿、林に帰る姿も、撮れます。
  たったこれだけの飛翔でも、10数カットの写真が撮れてしまうワケでして、
  写真集では20ページ以上の展開ができる、のです、よ。』
立『な~~るほど、そうやって野生動物と対話しながら、絵柄をつくりあげていく…のですか。』


実際にボクが説明した通りにフクロウが飛んだものだから、立花さんはえらく喜び、感動されていた。
作家やライターが、「フクロウ谷」にはこれまでにも何人もやってきたけれど、立花隆さんがやっぱりいちばん好奇心旺盛だった。
その夜もしっかり痛飲したけれど、立花さんの食欲と飲みっぷりには、これまた感心してしまった。

ボクもよく食べ、よく飲むほうだけれど、立花さんには負ける。
知的好奇心が旺盛な人ほど、やはり食欲も増進させるのだろう…か。
ボクが20年間漂流をしてきた軌跡を、立花さんにも見てもらえただろう…か。

(2003/12/19(金曜)「gaku日記」の過去ログより)


フクロウ谷でのフクロウの「Z型」飛翔

フクロウ谷でのフクロウの「Z型」飛翔は、このように行われる

立花隆さんと記念撮影

むささび荘前で立花隆さんと記念撮影
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講師プロフィール

自然界の報道写真家 宮崎学

1949年、長野県生まれ。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動中。
978年「ふくろう」で第1回絵本にっぽん大賞、1982年「鷲と鷹」で日本写真協会新人賞、1990年「フクロウ」で第9回土門拳賞、1995年「死」で日本写真協会年度賞、「アニマル黙示録」で講談社出版文化賞受賞。他写真集・著書多数。
最新刊「かわりゆく環境・日本生き物レポート」や「ツキノワグマ」「森の写真動物記」のシリーズが発刊中。
ホームページでは、中央アルプス山麓の仕事場をライブカメラにて24時間中継し、「家に居ながらにして自然が感じられる」と好評。
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